テツの小部屋

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<写真:ヤマダマコト ホーボージュン兄と俺>

 「女の子の博多弁はかわいい!」とよその人はみんな言いますが、男の場合はどうなんでしょうね。方言には標準語にはない微妙な表現に徹したものがたくさんあり、面白いですね。先生(私)は福岡出身ですが大牟田という博多からは遠く熊本との県境の炭鉱町で生まれ育ちました。筑後弁エリアです。ラーメンに替え玉はありませんでした(当時)。その後福岡へきて26年。もうすっかり博多弁に染まって普通に替え玉も頼んじゃったりしてますが、客観的に見ることもできます。特に私が独立前に建設関係でバイトしていた時や、バンド活動をしていた時には親方や先輩連中の興味深い博多弁を多く勉強させてもらいました。そんな中から、シーカヤックのみならず、フィールドで使うのにピッタリな博多弁をいくつか挙げていきます。


例1 「艶つけとう~」
標準語訳:「恰好つけてるね」
解説:当HPで最もよく出る博多弁ですので皆様には周知の言葉ですね。まあ、格好いいね、という意味ですが関西弁の「イキってる」とは微妙に違い、褒めているニュアンスもあります。英語で言えば「Dude」かな?正確に言えば褒め割合49%、冷やかし51%です。
フィールドでの使用例:カヤックツアーでの休憩中、お茶でも飲もうかというときに、アウトドア用のコーヒーミルなどをやおら出してきてガリガリするやつに対して「艶つけとう~」、上級者はそれを略して「艶!」と言い放ちます。この場合、「そんなのもってきて凄いね」という意味と「しゃらくさいやつ」という意味が入り混じっています。とても深い言葉と言えるでしょう。

例2 「天秤くらうぞ!」
標準語約:「グラグラしてあぶないよ!」
解説:長いものを持ち上げてフラフラすること。あるいは建設現場においては重いものを持って足場板の上をあるく際、その足場板の下になにか挟まっており、シーソーのように不安定になること。
フィールドでの使用例:これはもうカヤックを一人で担いだときです。肩に担いだカヤックのバウやスターンが地面にガスっとあたりそうになる前に叫んであげましょう。「天秤くらって」ラダーが壊れるカヤックが毎年平均約1300艇ほどあると先生は聞いています。

例3「アイタよっと」
標準語訳:「おっとっと」「あらら」
解説:建設現場では特にインパクトドライバーでビスを打とうとするとき、力加減や角度が悪くビスの頭からビットが外れて対象物にドライバーの先が「ガスっ」といきそうになる、その瞬間に出さなければいけない言葉です。同義の言葉に「アイタこら」もあります。
フィールドでの使用例:シーカヤックで航行中、思わぬタイミングで横波を食らったときや、サーフウェーブに乗ってしまってリーンした方向と反対にコケそうになった時に使います。連呼しても構いません。強風でタープのペグが外れたときなどにも有効です。

例4 「しろしか~」
標準語訳:「なんだかじめじめして不快だな~」
解説:雨がしとしと降って、湿気が高いときにつかいます。豪雨のときや、ビショ濡れのときには決して使わないのがミソです。じんわり濡れて、気持ちが悪いときのみ使用します。
フィールドでの使用例:そのままです。タープの下にいると雨音で相当な豪雨だなと思いつつ、でも外にでるとそうでもないな、でもパッキングして漕ぎ出すのはちょっと気が乗らないな、というときに使います。

例5 「腰やるど!」
標準語訳:「おいキミ、そんな体勢では腰を痛めてしまうよ!」
解説:重いものを持とうとするときに相手の腰を思いやって発する言葉です。
フィールドでの使用例:「天秤~」と同じくカヤックを持ち上げるときに。特にタンデムカヤックの時に使います。そんな誰かに対しても、複数人で一つのカヤックを持ち上げる時にも自戒の意味を含めて相互に連呼し合います。特に一人で膝を曲げすに持ち上げようとする益荒男を見かけた時には激しく言ってあげて下さい。先生は数年前カヤック10日間のロングツアー中の中盤でギックリ腰をやってしまい、その後は毎日朝晩自分のカヤックと荷物をお客さんに運ばせてたという人には言えない苦い経験があります。

例6 「頼んどくばい、て言うとかないかんもん、ほんなこて」
標準語訳:「お願いしとくよ、って言っておかないといけないんだから、本当に」
解説:かなり高度な博多弁使用例ですが、建設現場では日々多用されています。何度言っても材料を2ミリ短く(切断機の刃の厚さ分)切ってしまう新米や、遅刻常習犯やうっかり別の現場へ行ってしまうベテラン爺いの行動に対して使います。主に第三者のあきれるような失敗(常習性あり)を、第二者にたいしてボヤくときに使います。例文では判りやすくするために読点を入れていますが、実際の使用では連続してかなり早口で発語します。
フィールドでの使用例:シーカヤックで「今日明日泊まる島水無いから、一人5リットルは水持ってこような」と言ってたのに、500mlのポカリのみ持ってきたメンバーの事を、他のメンバーにボヤく時に。目に余るような場合はこのまま当事者に直接伝えるのも一向に構いません。

例7 「イボる」
標準語訳:(流動状の泥などに)「足がハマる」
解説:潟や田んぼなどに思わず足が「ズボ」っと埋もれてしまう様です。その状況のみを表す言葉で、これだけ状況を限定する表現は他に類を見ず、方言の多様性、ミクロ性を表していると言えるでしょう。「ギャンブル(や女)に嵌る」とは言っても「イボる」とは言いません。
フィールドでの使用例:そのままです。カヤックから降りたところが潟で、足がズブズブと埋まっていくときに激しく「イボった~!」と叫びます。その場合安易に足を抜こうとすると靴だけが潟のなかに残り、あとでどれだけ探しても靴が見つからない、ということは本当にありますので皆さんも注意して下さい。先生も小学生の時を含めて2度程経験しました(養魚池でザリガニを釣る無邪気な子供のフリして錦鯉を乱獲していました)。 佐賀県鹿島で行われている「ガタリンピック(有明海の干潟で行われる運動会)」は福岡では別名「イボリンピック」と言われているのは有名な話です。あとは、雪道を車で走行中、雪にタイヤがスタックした時にも使用しても一向に構いませんが、九州はそこまで雪が降る地域が少ないことも念頭に置くべき要素であります。

以上、ノリで羅列してみましたが、他に解説希望の博多弁ございましたらお気軽にご用命下さい。現在、熊本弁に関しても研究中です。

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